家づくりの流れ-① 「基礎」 トラブル編

基礎最後のお話となります。

何度も繰り返しお話ししておりますが、基礎は家を支える大事な部分です。

最近ハウスメーカーのCMで「震度7の地震を〇〇回加えても大丈夫でした!」

といったフレーズをよく耳にしませんか?

こういったCMをよく見てみると基礎の部分は作らず、躯体部分を架台等に乗

せて実験が行われています。

ここからみてとれるのは、これらの実験は、「基礎が破損しない」ことが大前

提となっているということです。

したがって、
基礎に対する施工がしっかりされていなかったらどうなる
のか?

正直考えたくないですね(^^;)

基礎の施工に関しては現在、瑕疵担保保険の導入などで、配筋のピッチなど

がしっかり決められていてこれを検査員がしっかりチェックもしています。

kensa.jpg

しかし、トラブルとして多いのは、この後のアンカーボルトの施工なのです。


今から5-6年ほど前だったと思いますが、弊社が分譲事業を始めた位の事です。

弊社で販売していた土地の契約がお客様と済み、建物の話になりましたが、

某大手ハウスビルダー様と価格競争になり弊社では建築の受注が取れません

でした。

2ヶ月ほどたったある夜に、このお客様よりお電話があり、現在建築中の家の

基礎部分がおかしいので見てほしいとご依頼を受けました。

私の自宅から現場までの距離が近かったのと、お客様のたっての願いもあって

そのまま現場に直行し確認いたしましたが、基礎の立ち上がりに乗っている

アンカーボルトがものすごい角度で曲がっていました。

いわゆる「田植え方式」という工法?です。

コンクリート打設後の完全に固まりきる前に、アンカーボルトやホールダウン

金物を上から田植えのように刺してゆく事からこのように呼ばれております。

taue.jpg田植え方式で曲がっているホールダウン金物

この金物類は土台部分や柱に接合されるわけですが...

上の写真はネット上からお借りしたものですが、5年前の現場は惨いほどに

倒れこんでいました。
(ホールダウンより長く重いアンカーボルトであったこともありますが)

田植え方式の是非は専門家でも意見が割れる問題です。

木造住宅の場合、現場で土台に穴を開けるので、多少のずれ量は吸収できます。

事前に固定する方法より施工費を安く出来るし、数カ所の間違い程度は強度的に

問題にならない事も多く、費用効果を考えると、間違いや失敗がない限りは安い

ほうがいいので、事前施工の必要がないのでは?という話もあるのです。

ただどうなのでしょうか?

アンカーボルトを事前に固定することについての費用は、確かに、田植えの場合

より経費がかかりますが、それほど問題になるほどの金額ではないと思いますし、

アンカーボルトの位置は、ミリ単位の精度が必要とは言いませんが、有るべきと

ころにないと、建物全体の耐力に影響が出る重要な部分です。

例を挙げるなら、耐力壁となる部分の柱の直下に無い場合などは、その耐力壁は

効かないという事になります。

田植え方式をチョイスしている段階で、レーザーによる墨だしなどは行われない

と思われますし、位置や長さ、本数、他の金物との納まり等で不具合が発生しや

すい状況にあると思います。

事実この現場では、お客様の要望によりセカンドオピニオンを弊社の設計士に依

頼し確認したところ、ホールダウンと柱が3本足らないという事になりました。

訴訟沙汰になるところでしたが、最終的には設計に手を入れお客様の要望が通った

事になり事なきを得ましたが。

曲がってしまったアンカーボルトは単管パイプをさして曲げて戻したようですが、

基礎部にクラックが入り補修したとのことでした。

私の考えでは"事前固定"はコストの部分もありますがそれほどのものでもありま

せんし、田植え方式は施工管理上も、強度の保全なども含め建物全体の品質上良い

ことはないと考えております。

家を建てられる際には、このような部分にも焦点を当てながら家づくりを行うのも

ある意味面白いのかもしれませんね。

基礎工事には構造物施工のプロフェッショナルがいるアイズホームにぜひご相談

ください!


家づくりの流れ-① 「基礎」 コンクリート編

今回も基礎のお話ですが、ちょっと専門的なお話になります。

家づくりにおいて基礎工事は土台が乗る大事な部分でもありますし、

工程の中でも一番最初の工程といえます。

したがって施工店との信頼関係もまだ深まっておらず、施主であら

れるお客様からすれば後戻りもできず、一番ご不安な時期なのかも

しれません。

それだけにコンクリート打設後に気泡やジャンカといわれる穴状の

状態を発見して「これって大丈夫なの?」といったトラブルになった

りするのです。

janka01.jpg

実際、基礎工事の品質は施工する施工店の技術によってかなり差がで

てます。

上記のようなジャンカは、枠にコンクリートを打設する際に、必ず巻

き込む空気が原因です。

巻き込んでしまった空気は、バイブレータを使用して追い出しますが、

追い出しきれなかった空気がジャンカとなるのです。

ジャンカは見た目だけの問題ではなく、数が多いと基礎の強度が低下し

てしまいます。

したがって、手間を惜しまずバイブレータをしっかりかけ、巻き込んだ

空気をどれだけ輩出できるかがカギとなります。

その他にも水セメント比の関係も大事です。

基本コンクリート打設は晴れの日に行いますが、今の時期ですと打設中

に天候が変わり突然雨が降ってきたりして、生コンに雨水が混入しまっ

たりしますよね。

そのばあい、お客様からすれば「水で薄まって、基礎が弱くなるのでは...」

と心配になります。

実際、「水セメント比」と呼ばれる数値が低下しますから、生コン内のア

ルカリ性が弱まって、鉄筋が錆びやすくなってしまいます。

水セメント比とは、セメントの重さに対する水の重さの割合のことです。

水セメント比40%という場合、セメントの重さに対して水の重さが40%の比率

で入っていることを意味します。

水セメント比が少ないコンクリートでは、セメントの量が多くなるため、中

性化に強いコンクリートができます。
(半面、流動性が落ちるので打設しにくくなってしまったりもします)

なので、そういった突発的な天候不順などにも対応できるよう、しっかりと

施工店は準備を整えていなければなりません。


基礎は鉄筋にて配筋を施したのち、コンクリートを打設するわけですが、

コンクリートと鉄筋はとても相性が良く、圧縮力と引っぱり力の両方に強い

ことで有名です。

ちょっと専門的になりますが、鉄筋は引っぱりに対する強度が高く、コンク

リートは圧縮に対する強度が高いため、お互いのストロングポイントを生か

し弱い部分を補完しあえる組み合わせなのです。

その他にも、鉄は錆びてしまうと弱くなる特徴がありますが、アルカリ性の

コンクリートと密着させているお陰で、鉄筋が酸化しない(錆びない)ため、

長期間強さを発揮するのです。

もちろん長い年月の経過によってコンクリートの中性化が進めばコンクリート

内部の鉄筋が酸化しやすくなるのですが、基礎はその鉄筋を覆うコンクリート

の厚さであるかぶり厚さを十分に確保することで、鉄筋が錆びるのを防いでい

るのです。

なのでジャンカなどはその厚みを減じてしまうのみか、鉄筋が外気に触れてし

まう恐れもあるため、基礎の仕上げ前にしっかりと補修を行ったりします。

家づくりの流れ-① 「基礎」 仕上げ編

先日は基礎の本当に基本的な部分のみを書きました。

実際に基礎というのは奥が深く?、今でも研究を怠れません。

アイズホームでは、基礎施工を自社で行いこれを社員研修の一環として

取り入れております。

これを行うことによって、構造物の基本や左官の技術など、その他にも

様々なことを学ぶことができるのです。

IMG_8923s.jpg


基礎は建物が建って行くうちに、そのすべてがそっくり隠れてしまい、

その側面、すなわち「立ち上がり」の部分のみが見えておりますが、

この部分を「仕上げ」として、仕上げてゆきます。

家の外観の重要な一部でありますし、地面から最初に露出している部分

なのでそれこそ人のファッションでいう足元のような部分です。

人のファッションの場合でも、足元にこだわるのが本物といわれます

よね。

なのでここをきっちり抑えておかないと全体的に「なんだかちょっと」な

印象になってしまいます。

見た目も格好の良い家を建てる事を、モットーとしている弊社としてはこの

基礎の「仕上げ」にもこだわりたいのです。


基礎の仕上げ方には主に二種類があり、金ゴテ仕上げと刷毛引き(はけびき)

仕上げいう仕上げ方があります。

それぞれの仕上げかたよって出る特徴を紹介します。

金ゴテ仕上げ

名前の通り金ゴテを使用してコンクリートの表面を仕上げてゆきますが、表面が

ツルツルに仕上がってゆきます。

この仕上げ処理をすることによって、見た目がツルツルになるだけでなく、コン

クリートの亀裂を防ぐ役割も果たしています。

アイズホームでは、基礎の仕上げに関しては金ゴテ仕上げの割合が断然多いと

いえます。

IMG_9651s.png

刷毛引き仕上げ

この工仕上げ方も名前の通りといえます。

刷毛使いながら表面をあえてざらついた質感に仕上げます。この仕上げ方は基礎の

仕上げにも使われますが、カースペースやコンクリート土間部分に、デザイン面も

さることながら、滑り止めとしての仕上げに多く用いられています。

hakebiki-s.png

コンクリート土間部分は金ゴテで仕上げるときれいなんですが、滑りやすくなったり

します。

刷毛引き仕上げには、生コン打設時に刷毛を使う「コンクリート刷毛引き仕上げ」と、

後からモルタルで化粧する際に刷毛を使う「モルタル刷毛引き仕上げ」の2種類があり、

状況に追って使い分けたりしますね。

基礎の仕上げの場合凹凸や立ち上がりの接合部の処理など、下地をしっかり整えないと、

日の当たり方で見え方がだいぶ変わってきたりします。

仕上げもきれいでな強い基礎を作るなしっかりした業者を選ぶには、腕の良い大工と地に

足のついた施工をし、構造や左官などをしっかり理解している施工業者を選ぶようにし

ましょう。

アイズホームの注文住宅では、熟練の職人が施工をし、これをしっかり継承できるよう

自社の社員育成にも力を入れております。

細部の仕上げまで、丁寧な施工が施された家なら、ぜひアイズホームまでご相談ください。

家づくりの流れ-① 「基礎」 基本編

今回は家づくりの流れとして「基礎」についてお話ししたいと思います。

家づくりの流れとしては、「基礎」が一番先の様になりますが、実際は

地盤調査だったり、地盤改良など、もしくはお建替えの場合などは解体

が先とかいろんなご意見がありますが、「家」単体で見た場合、基礎が

一番先であること。

私共アイズホームが基礎に力を入れていることから、「基礎」について

あまり数値的な話で申し上げると、あくびが出てしまうので、それこそ

基礎的な部分でおはなししたいと思います。


基礎は住宅そのものを支えるとても大事な部位といえます。

特に日本は、世界でも有数な「地震大国」。

いつ起こるかもしれない地震に耐えられる家にするためには、家の構造は

もとより、住宅の基礎が重要な役割を果たすのです。


さて基礎にはどんな種類があるのでしょうか。

今現在の日本での住宅の基礎は大きく二つに分かれるといえます。

1.ベタ基礎

近年の日本の住宅のほとんどがこのベタ基礎で施工されています。

家の建つ場所のほぼすべてをコンクリートで覆い、面で支えてゆくため不同

沈下に強いとされ、シロアリ対策にも優れているとされています。

また、施工の手間がさほど必要ではないことからも多く採用されております。

ただし、面でコンクリートを打つことからも必然的にコンクリート量が増える

為、コスト的には2で上げる布基礎よりも高くなります。

建築基準法上では土に接する面から、割栗石・捨てコン・防湿シート・鉄筋を

封入した基礎部分(厚み120ミリ以上)・壁などを支える立ち上がり部分(高

さ300ミリ以上)というのが基本的なベタ基礎の構造です。

(現在、政府の建築基準法は耐震力を高めるためこのあたりの値を高めてゆく方向
で協議をしているようです)

kiso_chigai(300).png

2.布基礎

家の外周部分(外壁部分をぐるりと囲むように)や、間仕切りの壁や柱が入る部分を

中心に支えるのがこの布基礎です。

面で支えるベタ基礎に比べ線で支えるという感じでしょうか。(表現が誤っているかも
しれませんが)

現在の基礎の主流はベタ基礎ですが、地盤がしっかりしている土地であれば、この布基

礎でも問題はありません。

布基礎であっても、面の部分には上記の絵の様に防湿コンクリートやシートを敷き防湿

工事をいたしますので、土が丸見えで湿気が気になるなんてことは考えずとも大丈夫です。

基本形状が逆T字のようになり、べタ基礎と同じように割栗石・捨てコン・フーチング・

立ち上がりなどの構造はベタ基礎とあまり大きく違いません。

メリット・デメリットでいうならベタ基礎は家の建つ部分のほぼ全面を鉄筋コンクリートで

覆ってしまいますので、コストは高め。布基礎は資材を最小限に留めることができますが、

手間の面の人件費でコストを取られるとされています。

したがって、地盤が軟弱でなければ、布基礎での施工もを提案されるかもしれません。

コンクリートや鉄筋の量が少なく済みますし、基礎そのものの重量が軽量になるメリットが

あります。

アイズホームの注文住宅では、熟練の職人が施工をしております、鉄筋も通常よりも一回り

太い16㎜の鉄筋を使用して基礎を組んで細部まで丁寧に仕上げております。

地震に強い安心な基礎が施工されている家なら、ぜひアイズホームまでご相談ください。


次回は基礎の仕上げについて書いてまいります!